お盆前の連休、福岡では線状降水帯が発生し大雨が降り続いた。テレビでは連日、大雨情報や避難情報が常時放送され、僕の住むマンションの前にある川の水位は普段の5倍ほどに上昇していた。「このまま大雨が続いたら氾濫するかもしれんな…」
その日の夕方、雨は一旦止み雨雲レーダーをチェックすると、夜遅くまでは小康状態が続く予報だったので、気分転換に近所の焼鳥屋で一杯やることに。店は雨の影響なのか、客はいなかいのでのんびり食事をしていると、妹からスマホに動画が送られてきた。動画は妹宅の近くの川が氾濫し、床下まで水が溢れている様子だった。急いで妹に電話をすると、妹宅は高台にあるので幸いにも被害を受けていないというので安心した。
店で食事を終え家に戻る途中、突然、雷鳴が響き土砂降りになった。傘は全く役に立たず全身ずぶ濡れで帰宅すると、履いていた靴は完全に浸水し汚れが落ちて新品のように綺麗になっていた。
日本の夏(6~8月)の平均気温は長期的に1.31℃の割合で上昇しており、都心部ではヒートアイランド現象の影響で上昇幅はさらに大きい。気象庁によると、2024年の日本の平均気温は過去30年の平均値を1.48℃も上回り、統計開始以来最も高くなった。パリ協定では、世界平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えるための努力目標を掲げているが、2024年の世界平均気温は産業革命前と比べて1.55℃の上昇になっている。
温暖化による気温上昇で、日本では大雨が増加し1時間の降水量は50mm以上の大雨は、1980年頃と比べて大幅に増加している。気温の上昇に伴い大気中には多くの水蒸気が含まれていることで大雨になりやすく、その頻度は徐々に増え自然災害も増加傾向だ。特に夏から秋のはじめは「出水期」と呼ばれ、台風や線状降水帯による集中豪雨が発生しやすい。また温暖化は人にも直接影響を与えている。2024年の熱中症死亡者数は初めて2,000人を超え過去最多になっている。暑さが招くリスクは熱中症だけではなくメンタルにも影響を及ぼし、気温と自殺者数のデータを解析すると、気温上昇と自殺者数に因果関係あることが確認された。また気温の上昇により熱帯地方に生息するデング熱の媒介蚊であるヒトスジシマカの生息域が北上しており、今後、感染症の増加も心配されている。
これからは経済を優先するより、のんびりと自然と共に暮らすことはできないのだろうか。一人の力で温暖化をくい止めることはできない。
「しかしうちのマンションの前の川が氾濫しなくて良かったな~」
以前、夏の夜に寝ていると、家人のうめき声で目を覚まし時計を見ると、夜0時を過ぎていた。急いで駆け付けると、家人はトイレでうずくまっている。
「どうしたと?」
「何度も戻して、めまいがして動けん…」
「大丈夫や?救急車を呼ぼうか?」
「お願い…」
酒を飲んでいた僕は運転することができず、急いで119番に電話を掛け状況を伝えた。救急車は5分ほどでマンションに到着し、自宅から家人をストレッチャーで運び僕も同行して病院へ向かった。検査の結果、家人は熱中症と診断された。夏場の暑い時期、家人は僕が寝た後に長風呂に入り脱水症状で熱中症になったという。その日、家人はそのまま入院し、僕が自宅に戻る頃は空が白み始めていた。
ところで昨年より一部の地域で、一定の条件下で救急車を利用した場合に費用が発生するそうだ。三重県松阪市では2024年6月から救急車で病院に運ばれ入院にならなかった場合、「選定療養費」として7,700円を徴収される。また茨城県でも2024年12月より、救急車で搬送され緊急性が認められなかった場合、松坂市と同様、「選定療養費」が徴収される。
救急車の出動件数は年々増加しており、令和4年の全国出動件数は722万9572件で搬送人員は621万7283人。これは前年よりも大幅に増加し平成14年以降最多の人数だが、搬送された約半数は軽症だったという。そこで重症度の高い救急患者の対応に集中する目的で救急車は有料化され、この動きは全国に広がりそうだ。また救急車の要請が多いと、管轄の救急隊の出動が重なり、遠いエリアから救急車を出動させることになるため到着まで時間が掛かり、助かる命が助からないという事態に繋がる。
救急車の有料化は緊急性と重症度の高い人に迅速に対応するためだが、軽症か重症か自ら判断することは難しく、低所得者の経済的負担など課題も残る。
「ピーポー、ピーポー」
猛暑で熱中症になった人を病院に運んでいるのだろうか…。今年の夏は救急車のサイレンをよく耳にする。皆さんも熱中症にはくれぐれも気を付けて下さい!
来週から夏休みで、ブログの更新は2週お休み。それでは素敵な夏休みを!
先週までセミの声が聞えない静かな夏だったが、今週に入ると一斉にセミの大合唱が始まった。暑さの影響でセミはいなくなったのかと心配していたが、パートナーを見つけ命を繋ぐため朝から猛暑の中、精一杯鳴いている。意外にも自然の中で暮らす生物は生命力があるのかもしれない。
ところで僕の住むマンションの隣で新築マンションの建設が進んでいる。作業スタッフは皆、ヘルメットを被り脇の下にファンの付いた長袖の空調作業服を着て、連日作業をしている。夕方、汗にまみれの作業スタッフに声を掛けた。
「お疲れ様。そのファンの付いた作業着は涼しいとね?」
「いや~、こう暑いと作業着の中を温風が循環している感じで、無いよりマシって感じですよ。会社の決まりで、熱中症にならんよう作業中は着用しとるんです」
「作業服の中に保冷材が入っとけば涼しいやろうけどね」
「保冷剤を入れる作業服もあるようですけど、うちはまだ…」
福岡では今週に入ると、夏の暑さはギアをさらに上げ、連日35℃を超える猛暑日が連日続いている。炎天下の中で作業をする建設業は慢性的な人手不足で、人材を確保するため一部の会社で「暑さ手当て」を導入しているそうだ。ある建設会社では30℃以上の真夏日は500円、35℃以上の猛暑日には1,000円を「暑さ手当」として支給。また熱中症対策の一環として空調作業服をスタッフ全員に支給し、建設現場には小型の製氷機やスポットクーラーも設置しているそうだ。「暑さ手当て」を支給している建設会社は年々増加し、今では300社を超えるという。
さらに建設現場の負担を減らすため最新技術も導入され、360度カメラで建設現場を数分歩くと、AIが自動で図面のデータに進行状況を記録し、猛暑日は現場監督を休ませる対策をとっている会社もあるそうだ。近い将来、建設業界は猛暑の夏も極寒の冬も一年中AIやロボットが工事をしているのかもしれない。
作業スタッフにこう言って別れた。
「もう少しで作業が終わるけん、帰って風呂に入って冷えたビールが飲めるやん」
「そうですね。毎日、それを楽しみに頑張ってます!」
「それだけ汗かいたら冷たいビールが旨いやろーなー。じゃー頑張って!」
いずれにしても早く暑さが落ち着ついてほしい。秋の訪れを多くの人が待ち望んでいる。






