僕が社会人になり広告会社に入社したての頃、大手の新聞社に1年ほど預けられた時期がある。右も左も分からない僕を新聞社のTさんが面倒を見てくれた。彼は僕の面倒を見ることで自分の仕事が増えたと、たまにぼやいていたが、彼はメディアと広告の基本を僕に教えてくれた。当時の新聞社の広告部署は活況で彼は花形だった。
先日、久しぶりにTさんに会って話す機会があった。彼が新聞社に入社した頃は、「就職したい企業ベスト10」に必ず彼の勤める新聞社の社名があったそうだが、今ではネットなどの新興メディアの台頭により新聞購読者と広告は激減し、就職を希望者も減ったそうで、「就職したくない企業ランキング」に社名が出るようになったと、笑っていた。
彼は大企業で長く生きていると、何かあったら潰しがきかないと言う。大企業で働く人間は外部の企業と戦うことよりも、企業の内部で自らの評価や出世のために戦うことが多いそうだ。新聞社もまた外部の企業と戦うことが少なく実は虚弱体質だったのだろう。
ある時期からネットなど予想しなかった新興メディアが急速に台頭し、メディアを取り巻く環境は一変した。そして既存メディアは新興メディアによって一気に形勢が不利になってしまった。彼の話を聞きながら僕は新聞社のおかれた環境を頭の中で直ぐにSWOT分析をすることができた。
彼は僕の歩んできた道を知っており、やはり中小企業で戦い、荒波に揉まれた方が逞しく、しぶといと言いながら僕に感心していた。
僕は多くの素晴らしい人に出会い、多くの知恵と知識を教えてもらった。僕はその教えられたことを素直に実行してきた。僕に多くを教えてくれた人たちは常に戦場に身を置いている戦士たちで、彼らは戦うことが好きで、時間があるときはいつも武器を手入れし、作戦を立て訓練をしていた。そして戦場では必死に戦い勝負に勝つと、雄叫びを上げ景気よく酒盛りをする人たちだった。
僕はそんな彼らと馬が合った。
以前は大企業に就職すると一生安泰だったようだが、今は楽ではないようだ。
written by 彦之丞
父は厳しい人間で共働きだったこともあるが、掃除、洗濯、料理と、自ら家事をやっていた。また父は自ら祖母の庭に蔵を建て、家の塀も造る大工仕事までこなしていた。子供の時分、僕は当然のように父に作業を手伝わされた。
「何でも一人でできるようにならんといかん!若いうちは苦労を買ってでもしろ!」
父からはいつもそう言い聞かされた。
僕は若い頃、この言葉を割りと真に受けて何でもやらされた面があり、歳を重ねると、若い頃に父に鍛えられたことで生きる基本が身に付いたように思う。
今の時代は集団から個人に大きくシフトしている。マスメディアは衰退し、逆にインターネットなどが台頭しており、自ら興味のある情報を入手する時代だ。更に日本では人口が減っており一番小さい集団の家族も核家族化が進み、世帯数は増えている。要するに単身層が増えているわけだ。日本はこれから更に少子高齢化が進み、経済は今よりも悪化していくだろう。そこにAIやロボットの進化により人間の仕事を奪って行く。
また日本は島国なので他民族に侵略された歴史が殆ど無く、危機感を感じない人が多い。しかも日本人は未だに先の大戦に負けたことで、日本人としての誇りを取り戻せていない。そのため真の独立ができていないように思う。
世界の国々が右傾化し保守派が台頭しており、今後、世界のあちらこちらで紛争が頻発する恐れがある。骨抜きにされた日本は紛争などに巻き込まれるとどう向き合うのだろうか?
これからの時代を生きていくうえで、自立することが非常に大切だ。自らの努力で知識や人脈を増やし、自分の立ち位置をしっかり考え自主性を持たなければいけない。そして父が言っていたように、何でも一人でできるようにならなければならい。きっと誰かが助けてくれるだろうなどと考えてはいけないだろう。この考えを若いうちに頭に叩きこみ、苦労し行動することで強く逞しく生きることが身に付いてくる。
歳をとってから苦労することは、体も心も萎えてくる。やはり若いうちは買ってでも苦労をしなければならない。
written by ダニエル
僕はあるイタリアブランドのダウンジャケットを購入しようとネットで調べてみた。すると東京に唯一直営店があったので、店に電話をかけ僕の気に入ったモデルの在庫を尋ねた。そのモデルはまだ入荷されておらず、11月中旬に入荷予定だと教えてくれた。そのブランドは希少価値を高めるためなのか、大量生産をしていないようだった。
タイミング良く入荷予定の時期に東京出張が入ってので、そのダウンジャケットを購入しようと、直営店を覗いてみた。
店に入り、僕の目当てのモデルの入荷状況を訪ねると、まだ入荷されておらず、どうやら入荷は12月中旬になると言う。僕は福岡に住んでおり先日も問い合わせをし、出張で東京に来ていることを伝えた。
店員は地方に住んでいる方で事前に問い合わせがあり、希望の商品が入荷すると、その日に入荷したことを電話で連絡するそうで、入荷された翌日一旦は店には陳列し、売れなかった場合のみ、代引きで地方に発送する事ができると言う。これがこの店のルールなので、それ以外の対応はできないと言われた。わざわざ福岡から出向いてきているのに臨機応変に対応できない店員に僕は呆れた。
店員から一旦、他のモデルでサイズを確認することを薦められ、気を取り直して僕はサイズを確認し、希望の色を伝え住所と連絡先を伝えた。
「希望の商品が入荷しますと、お客様にご希望の商品が入荷したことを電話でご連絡いたします。入荷した翌日、その商品が売れずに発送してもらえるか、お客様が電話で確認して下さい」
「えっ、僕が商品の発送してもらえるか、問い合わせをするの?今日だって事前に問い合わせをして、わざわざ福岡から来ているのに。お宅のブランドはそんなにタカビーなの?」
そう返すと、店員は焦って発送できる際はこちらから連絡すると言う。
ブランド価値を高めるため大量生産をせず希少価値を高めることは大切なことだが、店の対応の悪さや店の身勝手なルールで客を怒らせ、逆にブランド価値を低下させることを全く理解していないようだ。そのブランドを購入することを止めようと思った。そのブランドはきっと一流のブランドではないのだろう。
written by マックス








