昨年の夏以降、僕はお袋との最期の時間を、一日一日かみしめるように過ごした。その時間は驚くほど短かったが、今も胸の奥で静かな残響のように続いている。同時に、心のどこかにぽっかりと穴が開いたような感覚も残った。
遺品の整理が進み、年末を迎える頃には徐々に日常を取り戻しつつあったものの、2025年に掲げていた目標を振り返る余裕はなかった。だからこそ今年は、あえて目標を立てず、ただ心穏やかに過ごす一年にしようと決めた。
ところが年明け早々、アメリカがベネズエラに奇襲攻撃を仕掛け、マドゥロ大統領が拘束されたという衝撃的な報せが飛び込んできた。ウクライナとロシアの戦争は依然として終わりが見えず、日中関係もぎくしゃくしており、日本は防衛費を増額している。世界には暗雲が垂れこめ、これからどこへ向かうのだろうという不安が、胸の底に静かに沈殿していく。
お袋は先の世界大戦の時代に幼少期を過ごした。この暗雲が垂れこめる世界を見たら、きっと深く嘆いたことだろう。今年こそ、世界が足並みをそろえて平和へと歩みを進める一年であってほしい。
一方で、日本経済にも大きな転換点が訪れている。2025年末、日銀が政策金利を0.75%へ引き上げたことで、日本は長く続いた超低金利の時代から、ゆっくりと“金利のある世界”へ移行し始めた。2026年も賃金と物価の流れが安定すれば追加利上げが検討され、金融環境はこれまでとは違った表情を見せている。
金利上昇は家計に光と影の両方を落とす。預金金利や国債の利回りは改善し、預貯金を持つ世帯には追い風が吹く。普通預金でも0.2〜0.3%の金利がつき、個人向け国債(変動10年)の魅力も増した。「預金にほとんど利息がつかない」時代を知る人にとっては、久しぶりに“お金が利息を生む感覚”が戻ってきたと言える。
逆に変動型の住宅ローンを抱える世帯には注意が必要だ。金利上昇に伴い返済額が増える可能性があり、特に住宅ローン残高の多い40代以下の世帯には負担が重くのしかかる。住宅ローンは家計の中で最も大きな「固定費」であるため、早めに返済計画を見直しておくことが安心につながる。
資産運用の面でも、金利上昇は商品ごとに異なる影響をもたらす。預金や新規の債券購入には追い風が吹く一方、すでに保有している債券は価格が下がりやすく、評価損が生じる可能性がある。株式市場では銀行などの金融セクターは収益改善が期待されるが、借入依存度の高い企業には逆風となる。また、為替は米国の利下げ観測から円高に傾きやすいものの、日銀の姿勢次第では円安に振れる場面もあり、2026年は相場が揺れやすい一年になりそうだ。
世界に暗雲が垂れこめ、日本も変化のただ中にある。そんな時代の入り口で迎えた2026年。潮流を見誤らぬよう耳を澄ませながら、その流れにしなやかに身を委ね、平和を訴え、しっかりと生きていかなければならない。








