What's NEW
ARCHIVE
2017年03月03日

昔、冬の雨の降る夜に近くの自販機へと出掛けた。後ろで何かの気配を感じ振り向くと、ずぶ濡れで寒さに震える子犬が、鼻を鳴らしながら僕に近寄ってきた。生まれて1ヶ月くらいだろうか。その場で少しの間、びしょ濡れの子犬の頭を撫で自宅に戻ろうとすると、その子犬は僕の後ろからトコトコとついてくる。子犬を手で追い返そうとしたが逃げる気配はなく、結局、玄関先までついてきた。

「腹が減って寒いちゃろ?」

僕は子犬に言葉を掛けた。

「ク~ン」

子犬はひどく汚れて寒そうだったので、風呂に入れ洗ってやった。風呂から上がりドライヤーで毛を乾かし暖かい牛乳を与え、暖かいコタツの中に放り込んだ。そこに当時、看護婦だった母が夜勤を終え帰ってきた。僕は母にコタツの中を指差し母が中を覗くと驚いていた。

「どうしたと?」

僕は母に事情を話した。

「どうするね。明日には、おったところに戻さんね」

母が言う。

「こげん寒い中、放り出せんやろ~」
「ばってん、お父さん飼わんて言うよ。あれでいて本人は動物好きやけどね」
「お袋が上手いごと親父に言ってよ」

翌朝、父が起きてきて牛乳を飲んでいる子犬を見て飛び上がった。

「何やこれ!?」

母が事情を説明したが、父は大反対。

「死んだら可愛そうやし、悲しいやろうが!誰が面倒見るとや?」

結局、父は母の説得に負け、その子犬はうちで引き取ることになった。子犬は雑種で長い白い毛で所々、黒の斑があるメス犬だった。彼女は「ヒュウ」と名付けられすくすくと育ち、かなり大きな成犬になった。ヒュウは恩返しだったのか、僕ら家族をたくさん楽しませ喜ばせてくれた。また僕や家族が悲しい時はいつも隣に寄り添ってくれた。そして彼女は僕ら家族に愛され命を全うした。

人の義理や情は本当に希薄で、人の多くの感情はいとも簡単に変化してしまう。だからこそ人は義理人情の物語に感動し憧れるのだろう。先日、ふと、真っ直ぐに生きたヒュウを思い出した。
ヒュウを飼っている間に、今度は妹が猫を拾ってきた。
父は呆れていた。

written by ダニエル


2017年02月24日

年齢を重ねると興味心が薄れワクワク、ドキドキすることがなくなってしまうようだ。
若い頃、バレンタインデーが近づくとワクワク、ドキドキしていた。小学生や中学生の頃はバレンタインデーの当日に下駄箱を覗くと、手紙と一緒にチョコが置かれていた。高校生になると僕は男子校に通っていたので下駄箱の中にチョコは無かったが、通学路や電車の中で他校の女子からチョコをもらったこともあった。男子校の下駄箱にチョコが置かれていると逆にぞっとしてしまうだろう(笑)
決して僕はモテていたわけではないが、その頃はチョコを贈る方も貰う方も多感な時期で、恋愛など多くのことに興味がり、お互いワクワク、ドキドキしながら生活していたのだろう。

今年のバレンタインは飲み屋のお姉さんから郵便で小さなチョコが送られてきた。お得意先の担当者から日頃の感謝でチョコを頂いた。どちらのチョコも恋愛感情は全く感じなかったが有難く頂戴した。この年になると昔のようにバレンタインでドキドキ、ワクワクすることは減ってしまった。
僕は広告という世界で生きているので、恋愛はしなくても毎日ドキドキ、ワクワクしながら多くのことに興味を持って仕事をしなければならない。

実は僕は「死ぬまでに実現させるノート」と名付けたノートを持っており、死ぬまでにやりたいことを見つけると、そのノートに密かに書いている。「死ぬまでに実現させるノート」に書かれていることは引退後に実現させる計画で、そのノートを開くといつもワクワク、ドキドキしてしまう。

「真っ青な空の中でスカイダイビングをやる!」
「砂埃の中を走るヌーの群れを気球に乗り上空から見る!」
「モナコのホテルのベランダでワインを飲みながらF1レースを観戦する!」…

ワクワク、ドキドキすることが減った今、「死ぬまでに実現させるノート」に書いたことを直ぐにでも実現し、ワクワク、ドキドキした気持ちを仕事に活かすべきなのかもしれない。しかも引退してからだと結構、体力が必要なものも多く、体力があるうちに前倒しで実現するべきではないだろうか。
「ワクワク、ドキドキ…」

written by ゴンザレス


2017年02月17日

サザエさん一家もこの報道を聞き落ち込んだのではないだろうか。
140年もの歴史があり、約17万人の社員を抱える名門企業の東芝が債務超過に陥った。一流大学を卒業し、晴れて東芝に就職した人も多いだろう。彼らは自信と誇りに満ち溢れ、約束された未来を信じ入社したはずだが、今では債務超過で苦しむ企業に籍を置き、先の見えない不安を抱えている。今後、東芝はサザエさんの提供すらできなくなるのではないだろうか。

債務超過とは資産より負債が多いことで、企業の資産を全て売却し負債の返済に充てたとしても全ての負債を返済することができない状態だ。債務超過の会社の株主はその会社が解散した時点で全ての株券は紙切れ同然になってしまう。また債務超過の企業に銀行が融資することはなく、現在、貸出ししている融資を直ぐにでも引き上げることになる。
背に腹は変えられない東芝は黒字部門の事業を他の企業などに切り売りし、債務超過から免れるために資金調達を急ぐことになる。多くの企業やファンドがその黒字部門を虎視眈々と狙っているだろう。

名門の大企業でもトップの考えや方針で債務超過に陥ってしまう。
東日本大震災で福島の原発が大事故を起こし、世界中で原発依存への意識が変化する中、東芝はアメリカの原子力会社を買収し、その買収で大きな損失を被ってしまった。きっと大きな経営判断のミスや不正があったのだろう。
彼らは時代の潮流を読みきれず、また上場しているにも拘らず、不正会計を行うなどトップには全く倫理観は無く、名門企業の志高い文化はいつの間にか廃れてしまった。

数年前に起こった不正会計問題からV字回復を目指していた東芝。きっと社員も歯を食いしばって明るい未来に向けて挑戦していたはずだ。その最中に起きた今回の債務超過で17万人の社員はこれからどうなるのだろうか。15年ほど前に路頭に迷ったことがある僕は他人事とは思えない。

桜の開花時期が報道され始めた。国内で福岡が桜の開花が一番早いそうだ。
長い冬が終わり、春が訪れると桜が一斉に開花する。冬が終わり春の来なかった年は一度も無く、桜の咲かなかった春はない。苦境に立たされている東芝の社員も長い冬を耐え、しっかりと素敵な花を咲かせてほしい。

written by マックス


What's NEW
ARCHIVE