僕はタバコと酒を毎夜ベランダで楽しんでいるが、最近は秋も進み冷えてきたのでベランダに小さなストーブを買おうとネットで小型のストーブを探した。灯油ストーブは面倒だし発火の恐れもあるので、カセットコンロの小型ストーブを探していると、イギリスの老舗ストーブメーカ―のアラジンがカセットコンロのストーブを発売していた。他のメーカーも検討したが、アラジンのレトロなフォルムが気に入りアマゾンで購入した。商品は登山専門店がアマゾンに出品して販売していたものだ。
注文して2日後の夕方に商品は自宅に届き、早速、開封し商品を取り出した。説明書を読みストーブにカセットガスを取り付け点火すると直ぐに綺麗なブルーの炎が付いた。その晩はあまり冷えなかったが、ベランダにランタンに明かりを灯しそのストーブで暖を取りホットウィスキーを楽しんだ。翌日ベランダでストーブを眺めていると、天板に1㎝ほどのえぐられたような傷が2カ所あり、ストーブの円柱部分にも細く長い傷があった。円柱部分の傷は驚くことに適当に塗装し補修されていた。僕は商品を発送した店にメールでストーブが中古品なのか問い合わせてみた。
「アラジンのカセットストーブを購入し商品は届きましたが、この商品にえぐられたような傷や補修された跡がありますが中古品ですか?」
1時間ほどして店からメールが届いた。
「メーカーから納品された新品ですが、不具合がありましたら現物を着払いでご返送下さい。直ぐに返金手続きを致します」
店からのメールには電話番号と担当者の名前があったので、僕は電話を掛け傷の箇所を写真に撮りメールで送る旨を伝えた。メールを送りしばらくすると店の担当者から折り返し電話があった。
「確かにひどい傷ですね。確認せずに発送してしまい大変申し訳ございません。商品は新品でメーカーの段ボールにしっかり梱包されて納品されましたので、まさかこんな傷があるとは…」
僕は返金ではなく商品の交換を伝えストーブを店に返送した。
その翌日、店の担当者から同じ商品で未開封の在庫があり、店で開封し問題なければ直ぐに再送すると連絡があった。そして次の日に新たなストーブが僕の手元に届いたので、直ぐに開封すると問題はなかった。商品を店に返送して、わずか2日で新たな商品が手元に届いた。商品交換を依頼した際に誕生プレゼントなので急いで対応してほしいと、僕がホラを吹いたからなのか、店は速やかに丁寧な対応してくれた(笑)
僕はこのメーカーの検品体制に疑問を持ち呆れてしまった。しかし店が親切に対応してくれたので、このストーブに愛着が沸いた。寒い日が楽しみだ。
written by モンコ
ある得意先のスタッフは一言で終わる内容をやたら長い文章にしてメールを送ってくる。このようなメールを一日に何人にも送るのだろうから、メールを送るだけで一日の仕事は終わってしまうだろう。しかも電話もメール同様にやたらと長い。そしてこのような人に限って自分は仕事ができると思っているので質が悪い。もっとシンプルに合理的に仕事を行えばもっと効率が上がると思うのだが…。仕事について一度しっかり考えてみる必要があるではないだろうか。
仕事とは何かを生産し付加価値を付けて利益を得ることなのだが、この「生産」とは一体どういう意味なのだろうか。「生産」を調べてみると、生活に必要な物資などをつくり出すこと。また人間が自然などに働きかけ財・サービスをつくりだし、また採取・育成する活動と記されている。サラリーマンは企業の中で「生産」することで、会社から対価として給料を受け取っている。
ところで公益財団法人の日本生産性本部によると、OECDデータに基づく2018年に日本の時間当たりの労働生産性は46.8ドルで、アメリカの74.7ドルの約6割の水準で順位はOECD加盟36カ国中21位で、主要先進7カ国でみると1970年以降、常に最下位だ。また2018年の日本の1人当たりの労働生産性は81,258ドルで、英国(93,482ドル)やカナダ(95,553ドル)といった国よりも低く、順位でOECD加盟36カ国中21位だ。なぜ日本は生産性が低いのだろうか。多くの識者が色々と分析しているが、僕なりに考えてみた。
日本人の生産性が低いのは特に戦略を立てることが苦手なように感じる。先の大戦でも軍部のトップは無能で全く戦略が全く無く精神論を唱え敗戦し多くの犠牲者を出した。昔、僕が勤めていた頃も戦略や計画より先に精神論を唱える上司がいた。日本の生産性が低いのはトップに戦略が無く、多くの企業で精神論を唱える文化が根強く残っているからなのではないだろうか。企業のトップの話を報道など耳にするが、やたら横文字を使い中身があまりないように感じる。また企業は低価格の商品やサービスを販売する安易な経営戦略だったため、大量消費の時代が去った今、その戦略では世界に通用しない。
そして日本企業は今でこそ減ったが、長い間、年功序列で定年まで安定した収入を得ることができた。社員同士は仲が良く、やたらと社員間での付き合いや行事が多い。逆に欧米では成果主義で生産性を上げないと直ぐにレイオフされるため、自らの能力を高めなければならず、仕事は段取りよく終わらせ無駄な付き合いよりも自分の時間を大切にする。要するに日本人は茹でカエルのようになっているのだろう。
「残業が多くて…。最近、残業代はみなし残業で支払われるので前より給料が減った」
そう取引先の方が話す。
だったら生産性を上げ残業などせずさっさと帰れば良いのに…僕はそう思う。
written by マックス
朝、出勤するとお得意先である設計会社の社長が亡くなり、その晩にお通夜だと連絡を受けた。あまりに突然のことだったので、僕は声を上げるほど驚いた。彼は癌だったが仕事を続けることに執着し最後まで辛い抗がん治療を受けながら設計をしていたそうだ。亡くなった日もクライアントと打ち合わせをした後、自宅に戻り倒れて亡くなったそうだ。
彼は不愛想で人付き合いが苦手な方だった。僕は紹介で彼と出会い、彼の会社のPRの仕事を任された。基本的に僕はお得意の意向を丸飲みするタイプではなく、間違っていることははっきりとお得意に伝えるので、不愛想な彼は僕を気に入ってくれたようだ。そして彼と会食に出掛けるほどの仲になり、約20年間お付き合いした。
若い頃の彼は暴走族で随分グレていたそうだ。高校を卒業すると大学には進学せず建設会社の現場で働いていたと言う。建設現場での仕事は毎日重労働で現場監督からはいつも怒鳴られ扱き使われていたそうで、このまま死ぬまで人に扱き使われ死ぬのかと自問していたそうだ。そして彼は一念発起し使われる側より使う側になろうと強く思い、建築士になることを決意したそうだ。
彼は働きながら専門学校に通い2級建築士の資格を取得し、その後、設計会社で働きながら独学で1級建築士の試験を見事合格し晴れて1級建築士になった。彼は中学、高校とまともに勉強しなかったようで、建築の勉強よりも漢字や数学を覚えることの方が大変だったと笑いながら話した。その後独立し設計会社を立ち上げ、九州で名の通った設計士になり国内はもちろん海外でも多くの建築の賞を受賞した。
お通夜に出掛け会葬御礼を頂戴し自宅に帰り会葬御礼を開きご家族からの礼状を読んだ。そこには彼が子供たちに常日頃から言っていた言葉が記されていた。
「夢は自分の力で掴み取れ!これが主人の口癖でした…」
コロナ禍で厳しい毎日を送っている人も多く、就職活動をする中で内定を取り消され途方に暮れる若者も多い。辛く苦しくても彼のように夢を諦めず必死に努力すれば必ず夢を掴むことができるので諦めないでほしい。
当時、勤めていた会社が倒産し独立したばかりの僕を彼は力強く勇気付けてくれた。
written by ベルハルト