僕の家にQ太郎という雌のミニチュアダックスフンドがいる。Q太郎は全身黒い毛に覆われており、まるでお化けのようなので「おばけのQ太郎」から名前を取って付けた。しかし雌犬なのでQ太郎と呼ばれることは無く、いつもQちゃんと呼ばれている。Q太郎は今年19歳で人間の年齢にすると90歳と随分長生きだ。
Qちゃんは今年に入り高齢のため思うように動くことができなくなり、1日の大半を寝ているが、真夜中に家の中を徘徊することがある。認知症かと思い馴染みの動物病院で診てもらったが、夜中に無駄吠えをしないのであれば心配ないと言われた。
そう言えばQちゃんは高齢になり吠えることがめっきり減った。先日、珍しく夜中に2回ほど小さく吠えたので駆け付けてみると、Qちゃんの姿が見当たらない。さらに探しているともう一度小さく吠えた。声はソファーの下から聞こえたのでソファーの下を覗くと、そこから出ることができなくなったようでQちゃんは足を広げて伸びていた。
小さい頃からQちゃんにしっかりトイレを躾けたので、ちゃんとトイレで用を足していたが、最近はそれが難しく粗相をしてしまうので、今はペット用のピンクの花柄の紙おむつをしている。(意外に良く似合っている)
Qちゃんは食いしん坊だったが餌を積極的に食べなくなった。今は流動食や水を注射器のようなシリンジという器具で与えているのが、量が進まないので徐々に痩せてきた。Qちゃんは毛が長いので外見から痩せたことは気付かないが、抱っこをすると体重は随分軽くなったと感じる。そのため定期的に動物病院に連れて行き点滴をしてもらう。
「Qちゃんはうちに来るミニチュアダックスの中で最高齢だ。これまでの長生きの記録を塗り替えたよ。この年まで生きれば丸儲けだ。これからは老衰で弱わっていくので、今のうちに沢山大好きな食べ物を与えてやって下さい」
先生からそう言われたので、健康のことよりQちゃんの好物を優先して与えている。Qちゃんは果物や甘いものが大好きで、寝ているQちゃんの鼻にシュークリームなど好物を近づけると、鼻をクンクンと動かし、ハッと目を覚まし、パクリと食べる。昨晩はケーキを食べ過ぎたためか、夜中に呼吸が酷く荒くなり、舌を出して苦しそうだったので死んでしまうかと思ったが、今朝は落ち着いて眠っていた。ケーキなどの甘い物はほどほどにしよう。
Qちゃんの頑張っている姿を見ると僕は勇気付けられる。毎朝眠っているQちゃんの頭を撫で、僕はこう話しかけて仕事に出掛ける。
「Qちゃん、ずっと一緒にいようね。長生きしてギネスブックに載るよ!」
Qちゃんは返事をするかのように、かすかに尻尾を振ってくれる。
「頑張れ!Q太郎!」
written by ゴンザレス
金融庁の金融審議会がまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」(2019年6月3日発表)によると、「人生100年時代」に95歳まで生きる場合には夫婦で約2,000万円の貯蓄が必要と指摘した。その根拠として65歳の世帯で毎月の年金の平均受取額は約20万円、それに対して平均支出額は約26万円だ。つまり毎月の赤字額は6万円で年間72万円の赤字となる。65歳から95歳まで30年あるので72万円×30年=2,160万が必要になり約2,000円が必要になると金融庁は指摘している。
金融庁のこの発表に多くの人が将来の不安を感じたようで、報道番組のインタビューなどでは「そんな大金を貯めることは無理!」と、みんな口を揃えて政府を批判していた。
老後の必要資金を政府がわざわざ発表するとは、将来の老後資金について考えていない人があまりに多いからなのか、それとも年金を当てにせず自助努力をしろというメッセージなのだろうか。いずれにしても政府が試算した金額は65歳以上の方の平均収支から計算されており、この中には住宅費用が含まれておらず、前提として65歳までにマイホームのローンを支払い終えた人の金額だ。そのため住宅ローンを完済していない人や賃貸住宅で生活する人はさらに家賃が必要となる。またこの試算には家の修繕費などは含まれておらず、さらに医療費などの突発的な費用も含まれていないため、実際の費用とは大きく乖離しているだろう。
金融庁の指摘は多くの人が老後になって慌てることのないようにと、親切心からだと僕は捉えているが、複数の老後の生活タイプ別に老後資金を提示するなど、もっと丁寧に試算する必要があるのではないだろうか。
国は企業に70歳まで雇用延長を要請しているが、雇用年数が長くなることで退職金はこれからさらに減額されることになり、しかも将来の日本の実質賃金は今より減り、逆に税金や社会保険費は増えるので、早い時期からライフプランを作ることが必要だ。
さらに一度作ったライフプランではその後の長い人生で通用しないこともあり得るので、経済の変化や税制改正に合わせライフプランを見直し、時代に沿って最適化しなければならない。
ひと昔前の老後は今まで頑張って働いてきた苦労から解放され、悠々自適に趣味など自分の楽しいことに時間を費やし旅行に出掛けることもできたが、これからは死ぬまで苦労から解放されることはないのかもしれない。
仕事好きで「一生現役」と、やたら口にする元気な高齢の方もいるが、これからは元気でなくても皆、「一生現役」になってしまいそうだ。
written by ジェイク
今週火曜19時頃、福岡市の中心部に近い場所で高齢のドライバーが運転する車が時速100キロを超える猛スピードで中央線をはみ出し複数の車と接触し、赤信号の交差点に突っ込む事故があった。この事故で高齢のドライバーと同乗していた方(ご夫婦)が亡くなった。事故現場の周囲には高校や中学校がある住宅地で日頃から混雑しており、事故発生時は帰宅する学生や会社員なども多く、あわや多くの犠牲者を出すところだった。
事故現場は大破した車や横転している車もあり、まるで爆発でもあったような散らかりようだった。ひょっとすると、運転していた高齢のドライバーは突然健康上のトラブルが起きたのかもしれない。
以前、高齢で癲癇を患った親父に車の運転を止め免許証を返納するよう僕は強く勧めた。
「親父は病院で癲癇と診断されたっちゃろ。危ないけん車の運転を止めんね。事故ば起こしたらどうすると?ひとり事故で自分だけが怪我するならまだよかばってん、相手のおる事故で相手に怪我ばさせたらどげんすると?大変なことになるばい!」
「車を運転せんやったら買物も行けんし、どこも行けんやないか」
親父はこう言って車の運転を止めようとはしなかった。
数か月後、癲癇の持病を持つドライバーが交通事故を起こし大きく報道された。事故は配送業務中のドライバーが癲癇による発作で運転中に失神したようで、車は暴走し事故を起こした。この事故でドライバーを含め8名が亡くなり10数名が重軽傷を負った。ドライバーの勤めていた会社はドライバーが癲癇であることを知っていたが、日常的に配送業務を行わせており、裁判で責任を問われ被害者に賠償することに。そして信用不安による経営悪化でその会社は倒産してしまった。
この事件が大きく報道されると、親父は直ぐに免許証を返納し車の運転を止めた。
つい先日も池袋で高齢のドライバーが運転する車が事故を起こし、若い親子が亡くなっている。今週、福岡で起きた高齢ドライバーは池袋の事故の報道を見て直ぐに車の運転を止め免許を返納していれば、今回のような事故は起きなかっただろう。
まさか自分が事故を起こすなんて誰も考えていないだろうが、高齢者の危険運転や交通事故は増加しており、これから日本はさらに高齢者が増えていく。国は交通法の改正などスピード感を持って対策を行わないと、危なくてやすやすと外出もできない。ネットに高齢者のドライバーによる事故のことをこう書いてあった。
「高齢者の自爆テロ」
written by ダニエル