先週、沖縄よりも早く奄美地方が梅雨入りし、福岡でも雨が続いたので梅雨入りすると思ったが、今週の福岡は澄み切った青空が広がり五月晴れで良い天気だった。6月に入ると全国的に梅雨入りし鬱陶しい季節になるが、サラリーマンはこの時期に夏のボーナスが支給されるので心弾む人が多いのではないだろうか。
ところで、日本を代表するある大手企業が今年の冬から賞与を廃止し、「賞与の給与化」に踏み切るという。背景には人手不足で人材獲得競争が激化し初任給を大幅に引き上げ、人件費が増加したことによるものだという。「賞与の給与化」は企業と従業員にどのようなメリットとデメリットがあるのだろうか。
まず企業のメリットは求人票に記載される月給額が高くなるので、人材獲得を有利に進めることができ、従業員の転職に歯止めを掛けることに繋がる。従業員のメリットでは月給が増えるので、生活が安定し将来設計が立てやすくなる。逆に企業のデメリットは業績に合わせて調整可能な賞与が廃止され賞与が月給に振り分けられて固定化するので、業績が悪くても賞与での調整ができず、持続的に賃上げを行わなければならない。従業員のデメリットは月給をはるかに上回っていた賞与がなくなることで、高揚感とやる気が失われてしまうことに繋がる。またボーナス払いでローンを組んでいた人は支払いが複雑になってしまう。
このように「賞与の給与化」は企業と従業員どちらにもメリットとデメリットはあるが、この流れは日本企業で広がり、いずれアメリカのように個人の能力に合わせた完全年俸制になるのではないだろうか。新入社員で入社すると数年間は教育期間で、その後はプロスポーツ選手のように能力に合わせて年俸が毎年変動し、優秀で能力の高い社員の年俸は増えるが、能力の低い社員の年俸は減り、いずれ退場しなければならない。
海外でもボーナスはあるようだが、日本ほど総支給額に占める比率が高い国は少ない。日本独自の「ボーナス文化」は転換期を迎えているようだ。
若い頃、ボーナスが出ると気が大きくなり決まって旨いものを食べに出掛け、ボーナスの使い道を考えていた。最後に貰ったボーナスはいつだっただろう。
「ボーナスか…懐かしいな~」
自立した生活が難しくなった高齢のお袋と暮らして5年になる。自宅ではお袋が洗濯を担当していたが、2年ほど前からできなくなった。今年に入ると、昼間も寝ていることが増え、ベッドから自力で起き上がることが難しくなり、外出時はもちろん自宅でも歩行器を使ってよろよろと歩いている。当然、風呂に1人で入ることはできないので、週に2回デイサービスで入浴している。以前は物忘れ程度だったが、認知症が進んでいるようで多くのことを直ぐに忘れてしまう。そして体と頭の自由が利かないためか、他人を気遣うことは減り自己中心的な思考になってしまった。
そんなお袋との生活で喧嘩になることがあり、原因は大きく3つある。
まず愛犬Q次郎にお袋は食べ物を何でも与えることだ。犬も人間と同じで、塩分を含んだ食べ物や小麦に含まれるグルテンが入った食べ物を与えない方が健康で長生きができる。しかしお袋は平気でお菓子やパンなどを与えるので注意しているが、お袋が何か食べていると、Q次郎は食べ物をねだりにお袋の元に寄って行く。自宅で焼き肉をしている時、焼肉のたれがたっぷりと付いた肉を与えていたのできつく注意したが、その後も僕の目が届いていないところでたれ付いた肉を与えたので僕は怒鳴った。「お袋!Qに焼肉のたれが付いた肉とか絶対にやらんで!何回、言えばわかると!」…自宅では焼肉をしないことにした。
またお袋は歯が悪いにもかかわらずお菓子が大好きで、菓子パンやカステラには目が無い。お袋は心臓が悪いので、医者から塩分を控えるよう注意されているが、塩気の強いお菓子も好んで食べる。塩分を控えて健康バランスを考えた食事を出しても感謝することはなくあまり口にしない。「お袋の体を気にして料理しよるけん、感謝して全部食べんといかんやろ!」…自宅にあるお菓子を隠すことにした。
さらにお袋が時間にルーズになったことで喧嘩になる。お袋はテレビが好きで、お袋の部屋では一日中テレビが付いている。病院の予約した時間が迫っていてもテレビに見入って出掛ける準備が整わない。先日も外出する2時間前から準備するように促したが、一向に準備は進まない。「テレビを見らんで、早よ、準備せんと、遅刻するやろ!」…お袋が予定のある日はテレビを消すことにしたが、お袋は準備をせずに寝てしまうようになった。
老いていくお袋を見ていると恐ろしくなってしまう。齢を重ね高齢になると、心身ともに制御不能になり全てがどうでもよくなっていくのかもしれない。僕は制御可能なうちにあの世に行くことにしよう。
ゴールデンウィークは瞬く間に過ぎ日常生活が戻ってきた。今は自由な生活を送っているが、仕事をしている頃の名残なのだろうか、連休が終わると多少心が沈んでしまう。今年のゴールデンウィークは数年ぶりに福岡に戻って来た親戚を囲んで酒を飲み、親父の命日が近い日に教会でお祈りを済ませ、妹家族と昼から親父を偲んで酒を飲んだ。(偲んで…?楽しく酒を飲んだ?)人が集まると何故か酒を飲み宴会になる。
ところで宴会といえば、食べて、飲んで、語り合う楽しい時間だが、西アフリカの熱帯雨林で、野生のチンパンジーが自然発酵したアルコールを含んだ果実を仲間と食べる様子が初めて撮影された。この撮影はイギリスの大学による調査研究で、2022年4月から7月にかけて行われ、西アフリカの国立公園に暮らす野生のチンパンジーが対象で、チンパンジーを恐がらせないように固定カメラを3カ所に設置し定点撮影を行った。その結果、調査期間中に70回の食事する行動が記録され、そのうち10回は自然発酵した果実を食べていたという。しかも発酵した果実を食べるときは決まって複数頭が集まり一緒に分け合っていることが確認された。
研究チームがチンパンジーの食べ残した果実を採取して調べたところ、アルコール度数は0.61%程度とアルコール濃度は比較的低いが、チンパンジーは日々の食事の60〜85%を果実でまかなっており、その中には発酵した果実も多く含まれ、微量のアルコールが積み重なることで、かなりのアルコール量を摂取している可能性があるという。基本的にチンパンジーは食料を仲間と分け合うことをしないそうだが、アルコールを含む食料は仲間と分け合って一緒に食べていたという。これはアルコールによるリラックス効果や仲間との絆を深めるための行為で霊長類の祖先の頃から存在し、現代人の「宴会文化」に繋がっている可能性があると、研究チームは指摘している。
働いている頃は懇親会や接待など宴会が多く、自宅で用意された夕食をドタキャンして家人に叱られることもあった。その度に「付き合いだから仕方がないやろ」と返していたが、もっと早くにこの研究報告が発表されていれば、「霊長類の祖先のDNAが受け継がれている」と返していただろう。
「猿も人間も宴会が好きなんやなぁ~」