「営業はシステムですよね~」あるパーティーの歓談中に、ある知人が私に同意を求めてきました。よくよく尋ねてみると、彼の考える営業とはルーティンな活動で、商品やサービスをお客様に説明した後、価格を提示し、お客様が納得して気に入っていただければ商談が成立し、その逆であれば破談するだけと、かなりドライ。更に今はパソコンやスマホでメールやネットなどを駆使し、どこからでも効率良くお客さんに説明ができるため、彼は営業をシステムと言っているのです。そしてシステムだから魅力的な商品やサービスさえあれば、誰にでもできる仕事だと言うのです。そんな彼も大手企業の営業マン(システム?)なのです。
しかし多くの企業に営業セクションがあり、そこに多くのスタッフが在籍しています。営業がシステムであれば、そこに人手を割いてまで多くのスタッフが必要なのでしょうか。営業という職種があり、そこに多くの人員が配置されている以上、簡単にシステムと割り切れないものがあると考えます。確かに魅力的な商品やサービスは必要ですが…。
「営業」とは「営利を目的として事業を営むこと」つまり「商売」です。つまり営業マンは商売人のことなのです。商売人は魅力的な商品やサービスが当然必要です。しかしそれだけで継続的に商売は成り立つのでしょうか?
私が商売人で直ぐに連想するのは「サザエさん」に出てくる「三河屋さんのサブちゃん」です。実は「三河屋さんのサブちゃん」は、ただの御用聞きのように見えますが、磯野家の台所事情はもちろん、家庭事情もほぼ完璧に掌握し、提案営業もしっかり行っているのです。サザエさんが突然外出しなければならなくなった時、偶然配達に来ていたサブちゃんは留守番をさせられてしまいました。(笑)
商売人はお客さんに明るく親切で、たまに値引きや、有益な生の情報も教えてくれ、お客さんのためになる提案もします。またお客さんが困ったり悩んだりしていると、直ぐ駆けつけ相談にのってくれたり…。そこにはお客様と心が通ったお付き合いがあるのです。
現代は通信やその環境周辺機器が発達し、ネットなどのインフラが全世界を網羅しています。だから発信や伝達はもちろん、営業までもシステムとして考える方も多いでしょう。そんな時代だからこそ、人と人を繋ぎご縁を大切にする商売人が、ひときわ存在感を増す時代だと私は思います。
また営業を特殊な職人と考えている人もいるようです。以前、ある優秀な職人気質のクリエーターが、ある優秀な営業マンにこう言ったそうです。
『あなたの営業スタイルは職人技だね!僕には営業は無理だね!』
written by マックス
大切な協力会社で人事異動があり、新しい支社長が福岡の地に赴任され挨拶のため当社に来社されました。広告業界の方には珍しく身なりも比較的地味な方で、ご出身は関西とのこと。関西人に感じられないほど比較的穏やかな口調で話され、多少物腰し弱い印象を受けました。年齢は50代半ばで、クライアントの若い担当者とも何の隔たりも無く直ぐに打ち解けることができると、親しみやすさを強調されていました。でも私は逆にインパクトが薄く、数回会わないと印象に残らないようにも感じられました。
しかし、よくよく彼の顔を拝見すると、全ての鼻毛が鼻の両穴から2センチほど伸びていることに気づきました。(まるでバカボンのパパ状態…)当然、初対面の彼にそのことを告げることも触れることもできないまま、無事に初顔合わせの挨拶は終了しました。
彼が帰った後、鼻毛のインパクトで彼の印象は私の記憶に完全に刷り込まれました。また彼と会っていない社内スタッフにそのことを伝えると、スタッフの間で彼の噂(鼻毛)は一気に拡がり、一度会ってみたいと全員が言い始めたほど。しかも 『ハナゲルゲ』 というあだ名まで付いてしまいました。
営業マンとしての身だしなみは大切です。営業マンとして鼻毛伸び放題は言語道断NGです。彼がクライアントと打合せをしていても、そのクライアントはその鼻毛が気になり打合せに集中できないはずです。しかし、たった一度の面会や、会ったこともないスタッフからあだ名が付いてしまうほどのインパクト。これには驚きです。
このことが私の広告・マーケティング展開を行う上で大変ヒントになったことは間違いありません。超インパクトのあるビジュアルは広告の出稿量とは比例せず、ただの一度の接触で、その広告に接触していない人の中でも話題になり、効率良く人の記憶に刷り込むことができることをつくづく考えさせられました。(しかし品位に欠けイメージは低下しますが…)
『ありがとう!ハナゲルゲ』
written by ゴンザレス