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制御不能
2025年05月23日

自立した生活が難しくなった高齢のお袋と暮らして5年になる。自宅ではお袋が洗濯を担当していたが、2年ほど前からできなくなった。今年に入ると、昼間も寝ていることが増え、ベッドから自力で起き上がることが難しくなり、外出時はもちろん自宅でも歩行器を使ってよろよろと歩いている。当然、風呂に1人で入ることはできないので、週に2回デイサービスで入浴している。以前は物忘れ程度だったが、認知症が進んでいるようで多くのことを直ぐに忘れてしまう。そして体と頭の自由が利かないためか、他人を気遣うことは減り自己中心的な思考になってしまった。

そんなお袋との生活で喧嘩になることがあり、原因は大きく3つある。

まず愛犬Q次郎にお袋は食べ物を何でも与えることだ。犬も人間と同じで、塩分を含んだ食べ物や小麦に含まれるグルテンが入った食べ物を与えない方が健康で長生きができる。しかしお袋は平気でお菓子やパンなどを与えるので注意しているが、お袋が何か食べていると、Q次郎は食べ物をねだりにお袋の元に寄って行く。自宅で焼き肉をしている時、焼肉のたれがたっぷりと付いた肉を与えていたのできつく注意したが、その後も僕の目が届いていないところでたれ付いた肉を与えたので僕は怒鳴った。「お袋!Qに焼肉のたれが付いた肉とか絶対にやらんで!何回、言えばわかると!」…自宅では焼肉をしないことにした。

またお袋は歯が悪いにもかかわらずお菓子が大好きで、菓子パンやカステラには目が無い。お袋は心臓が悪いので、医者から塩分を控えるよう注意されているが、塩気の強いお菓子も好んで食べる。塩分を控えて健康バランスを考えた食事を出しても感謝することはなくあまり口にしない。「お袋の体を気にして料理しよるけん、感謝して全部食べんといかんやろ!」…自宅にあるお菓子を隠すことにした。

さらにお袋が時間にルーズになったことで喧嘩になる。お袋はテレビが好きで、お袋の部屋では一日中テレビが付いている。病院の予約した時間が迫っていてもテレビに見入って出掛ける準備が整わない。先日も外出する2時間前から準備するように促したが、一向に準備は進まない。「テレビを見らんで、早よ、準備せんと、遅刻するやろ!」…お袋が予定のある日はテレビを消すことにしたが、お袋は準備をせずに寝てしまうようになった。

老いていくお袋を見ていると恐ろしくなってしまう。齢を重ね高齢になると、心身ともに制御不能になり全てがどうでもよくなっていくのかもしれない。僕は制御可能なうちにあの世に行くことにしよう。


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