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目には目を、歯には歯を
2024年04月25日

株価はまるでジェットコースタのように上昇はゆっくりだが、落ちる時は一気に下落する。先週末、イラン中部で爆発音が聞こえたというニュースが世界を駆け巡ると、中東情勢が緊迫化することへの懸念から、日経平均株価の下げ幅は一時1,300円を超えた。これ以上、中東で応酬が繰り返されなければ良いのだが…。

ところで人類史上最古の法典と言われる古代バビロニアの「ハンムラビ法典」。この「ハンムラビ法典」は高さ2mを超える巨大な岩に楔型文字で法の全文が刻まれている。この法典の真価のひとつは「法を定め、法の下で生活する」という習慣が人類に定着していなかった時代に記されていることだ。この法典には「目には目を、歯には歯を」という言葉が刻まれており、僕も学生時代に世界史の授業で習った。当時、僕はこの言葉は「やられたら、やり返せ!」と復讐を奨励する意味だと理解していたが、法典を紐解けば、この言葉の意図は「復讐してよい」という、単純なものではないようだ。

紀元前1770年頃、中東の国、古代バビロニアでは暴力行為が互いの報復によってエスカレートすることがしばしばあり、特に殺人に対する報復はむしろ神聖な行為とみなされ報復が報復を呼び、互いに当事者がいなくなるまで繰り返されたという。そこで、ハンムラビ王は社会秩序を維持するため、「同害報復」の原則を定めた。報復する相手は当事者のみとし、同等の処罰を与ええてよいというもので、「やられたら、やり返せ!」という意味ではなく、「やられても、必要以上にやり返してはならない」と、過剰な報復合戦を防ぐ目的で条文化された。つまり報復を煽るのではなく、むしろ「同程度の復讐で留めなさい」という抑止意図があったという。

そして「ハンムラビ法典」の後書きには王の願いも記され「強者が弱者を虐げないように、正義が孤児と寡婦とに授けられるように」と付け加えられている。このことからハンムラビ王は良心のある賢帝だったようで、国民の最大公約数が納得できるように法の整備に誠実に向き合い法典を編纂したと想像できる。

余談だが現代でもイスラム文化の特徴のひとつに一夫多妻制がある。これを男性上位の制度と見る向きもあるが、実はイスラムの歴史的・地理的背景の中、戦闘等で家長や男手を失った寡婦や子供が、生活に困窮しないように力のある男性は複数の家庭を養うべき、という意識でこの文化が生まれたという側面もあるという。

イランとイスラエルは報復攻撃を行ったが、お互い重要施設などに攻撃を行っておらず、被害は小さい。今のところ「ハンムラビ法典」の言葉は守られているようだ。

来週はGWでブログの更新はお休み♪天気は優れないようですが、皆さん素敵なGWを!


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