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変化する入社式
2024年04月05日

昔は季節がゆっくりと移り変わっていたが、地球温暖化の影響なのか、近頃は突然のように季節は変わる。桜の開花宣言が出ると気温は夏日を超え、初夏のような陽気だ。その中、新社会人なのだろうか?馴染まない新しいスーツ姿の若者を見掛ける。昔、僕も新しいスーツで初出勤をしたな~。僕の入社初日はあいにくの雨で新しいスーツが濡れたことを覚えている。午前中はオリエンテーションがあり、その後、上司と新入社員は福岡の老舗鰻屋で昼食を取った。鰻屋で緊張しながら初めて鰻の懐石料理を食べたことを今でも覚えている。

ところで一風変わった入社式の様子がテレビで報道されていた。ある化粧品メーカーの入社式は新入社員が早く会社に馴染めるようにと、入社式の開始前、会場脇に設けられたメイクコーナーで新入社員と年齢の近い社員が新入社員にメイクを施し交流をしていた。

またある会社では従業員の多様性を尊重しようと、服装や髪形を自由にし、金髪の男性社員やワンピース姿の女性社員が入社式に参加する異様な光景が映っていた。そしてある銀行では業務や会社の雰囲気を知ってもらおうと、新入社員の両親を招待して入社式が行われ、さらにサプライズで投資用の10万円を初任給に上乗せし支給することを入社式で発表した会社など、様々な入社式が報道された。

一風変わった入社式を行う背景には、人手不足や若い社員の転職が影響しているようだ。今の時代の若い社員はひとつの会社で働き続けようと考える人は少なく、自分が成長できる環境があれば直ぐにでも転職しようと考える人が多いようだ。日本はゼロ成長やマイナス成長という時代が長く続き、ひとつの会社に忠誠を尽くしても将来の安定や安心が担保できないと考えているという。彼らに魅力的に映るのは自身のキャリアに寄り添い、キャリア開発の機会や環境を与えてくれる会社で、まずは自分のスキルアップを優先しているようだ。会社もその若い社員のニーズを受け止め一風変わった入社式を始めている。しかし一風変わった入社式全てが良いとは思わない。

新入社員の緊張をほぐし心温まる入社式は納得できるが、カジュアルで何でもありの入社式には疑問を感じる。学生時代と違い社会人として初めて踏み出す入社式は、やはりフォーマルの服装で両親など招待せず身の引き締まる入社式であって欲しい。驚いたことに入社初日に退職したという新入社員がこう語っていた。

「何か違うなぁと、思ったんですよ…」

彼の真意は何だろうか?


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