今年のゴールデンウィークウィークも昨年同様に新型コロナウィルスの拡大で外出せずに自宅で過ごした。5月2日の夜、いつものように晩酌をしていると外から車のクラクションと急ブレーキによるスリップ音、そして「ドン」と鈍い大きな音が聞こえた。僕は近くの幹線道路で事故が起きたと思い直ぐに家を出て現場に向かった。
事故現場は自宅マンションから20メートルほど離れた片側2車線の道路で、歩道に白いベンツがハザードを付け停車し、その脇に2台の自転車が横転しており、歩道には数人が事故の様子を見守っていた。道路中央には一人の少年がうつ伏せに倒れ、その少年の傍には友人なのだろうか、震えた涙目の同年代の子が立っている。そして通りすがりの人だろうか、機転の利いた人が懐中電灯で後続車を誘導していた。
僕は急いで倒れている少年に駆け寄った。その少年は頭から血を流し口から大量の血を吐き胃の中にあった食べ物なのだろうか、血に染まったドロっとした得体の知れない物が口から出ている。少年は瀕死の状態だったが息はあった。近くで救急隊に電話している男性がいたので、僕はうつ伏せになった少年の呼吸が気になり、少年を仰向けにするべきか救急隊に聞くように彼に伝えると、彼は僕に電話を替わってくれと手で合図し、僕に電話を渡してきた。電話の向こうでは救急隊が僕に問いかけてくる。
「今、倒れている人はどんな状態ですか?」
「かなり吐血していて頭からも出血していますが呼吸はあります。彼は今うつ伏せなんですが、仰向けにした方が良いですか?」
「今、救急隊がそちらに向かっています。直ぐに到着できるようですので、そのままの状態で救急車を待ってください」
僕が救急隊と電話で話していると、その少年の呼吸はゆっくりと止まった。
僕は慌てて電話を戻し、少年を仰向けにして彼の胸に両手を当てた。そして僕の声が少年にしっかり聞こえるように大きな声で心臓マッサージを始めた。
「死ぬな!生きろ!生きろ!生きろ!!」
数分後、救急車より先にパトカーが現場に駆け付け数人の警官が下りて来た。若い警官が僕に「替わります」そう言ったので、僕は心臓マッサージを替わってもらった。そして間もなくして救急車が到着し救急隊員が心臓マッサージと輸血を始めたが、少年の呼吸は戻らない。救急隊はしばらく心臓マッサージを行い、手際良く少年をストレッチャーに乗せ救急車に搬入すると、サイレンを鳴らし救急病院へと走り出した。
僕は自宅に戻り名前も顔も知らない少年の無事を祈った。
翌朝、テレビのニュースで昨晩の事故は報道されず、ネットにも書き込みやニュースは無く、また事故現場に花が添えられていなかったので、少年は一命を取り留めたのだろうと僕は安堵した。
しかしその日の夕方、ニュースを見ていると昨晩の事故が報道された。その少年は中学3年生で友人と道路を自転車で横断中に跳ねられ意識不明の重体だったが、事故から13時間半後に死亡が確認されたと言う。僕は愕然とし、悲しみとやるせない気持ちで胸が一杯になった。懸命の心臓マッサージのリレーは少年に届かなかった。
2日後、事故現場の歩道には沢山の花が添えられていた。その少年の親を想うと胸が熱くなり虚しさが込み上げてきた。そしてその時僕はふと思った。
少年は事故現場で心肺は停止したが、その後、息を吹き返し13時間半は生きた。彼の意識は戻らなかったが、病院に駆け付けた両親や家族に今までのお礼と先立つ不孝を謝罪し、ちゃんとお別れの挨拶をしたのではないだろうか…。そう思うと気持ちが少し楽になった。
交通事故は回避することができる。交通事故は被害者と加害者、それにどちらの家族にとっても辛く悲しい。
自宅近くにある学生街の商店街を久しぶりに歩いてみると、ひしめき建っていたパチンコ店の多くが閉店していた。学生の頃は数人の仲間と良くパチンコ店に出掛けていたので、ふとあの頃が懐かしく思えた。
学生の頃、僕のパチンコの勝率は50:50だったが、大きな金額を負け落ち込むこともあれば大勝ちしてびっくりする金額を手にすることもあった。仲間内で大きく勝った者は、仲間全員に旨いものをご馳走するルールがあり、大勝ちしても手元にはそう多くは残らなかった。一人暮らしをしていた友人は親からの仕送りが送られてきた日に全額パチンコで負け、一カ月の生活費の全てを使い果たし仕送りとは別に親に送ってもらっていた米だけで一カ月生活することもあった。彼は3食の食事を色んなふりかけだけで生活していたが、パチンコで勝った友人からご馳走してもらい何とか食い繋いでいた。
パチンコ店によく出掛けると面白いことに常連客や店員と親しくなる。常連客は毎日その店にいるので、店の癖や店の心理を研究しどの台の出玉が良いのかある程度予想できるようで僕らが大きく負けていると、親しくなった常連客が出玉の良い台を教えてくれた。また店員も客の勝敗をしっかり観察しており連日のように負けている客がいると、こっそりと出玉の良い台を教えてくれた。面白いものでパチンコ店も店員と常連客の間で小さなコミュニティーがあった。
最近、パチンコは若者に人気がないようで学生街にあるパチンコ店は客が少なく常連客だけでやりくりしていたようだが、新型コロナウィルスの影響で常連客も店に来なくなり閉店してしまったのだろう。パチンコ店は決して社会に必要な商売ではないが、そこで働いていたスタッフのことを思うと何とも気の毒だ。また孤独な常連客もパチンコが毎日の楽しみで、彼等にとっては生活する上で大切なコミュニティーだったが、パチンコ店が閉まったことで彼等は自宅に引きこもり孤独な生活をしているのかもしれない。
新型コロナウィルスは変異しながら感染力をさらに強めている。社会に必要な店も社会に必要でない店にも大きな損害を与えている。早く新型コロナウィルスが収束して欲しい。
来週はゴールデンウィークでブログはお休み!
スポーツクラブデビューの日に予約していたパーソナルトレーナーにすっぽかされ、別のパーソナルトレーナーにトレーニングメニューを作ってもらいスポーツクラブ通いが始まった。2週間が過ぎ、トレーニングメニューを見直してもらおうと再度パーソナルトレーナーを予約したが、予約した日の前日に都合が悪くなったと突然キャンセルされた。そしてキャンセルの電話を貰った翌日に改めて予約の連絡を貰うことになっていたが、1週間経ってもトレーナーからは連絡は無く、その適当な対応に僕は憤り感じそのスポーツクラブを辞めることに。早速、僕はスポーツクラブに出掛けカウンターの中にいた支配人の名札を付けた人に声を掛けた。
「すいません。責任者の方ですか?」
「はい。私が支配人ですが、どうされましたか?」
「お宅の対応があまりにも酷いんで退会したいんですが?」
「えっ、何かありましたか?」
「大ありです。二人のパーソナルトレーナーに予約をすっぽかされ、しかも折り返しの電話もないんです」
「その二人のトレーナーは誰ですか?」
僕は2人の名前を支配人に伝え、経緯を話した。
「そうでしたか。大変申し訳ございません。次は責任感の強いパーソナルトレーナーを付けますので、考え直して頂けませんでしょうか?三度目の正直と言うじゃないですか」
(三度目の正直…ここで使う言葉か…僕はひしひしと怒りが込み上げてきた)
「最初から責任感のあるトレーナーを付けて下さいよ。二度あることは三度あるとも言いますので、きっぱり辞めます。支払った費用を返して下さい!」
「そうですか…。それでは頂戴していました費用は全額お返しいたします。大変申し訳ございませんでした。」
怒りでトレーニング魂に火が付いた僕はその足で、別のスポーツクラブの見学に出掛けた。そこのスタッフは好青年で僕の入会動機を聞いてきた。
「入会の動機は何ですか?」
「実は…。今、そのスポーツクラブを辞めて来たんです。こちらトレーナーは約束を守りますか?」
「うちのトレーナーはしっかりしていますし、予約をすっぽかすなんてあり得ないですよ。今はお得なキャンペーン中で『乗換え割』と言うものがあります」
「乗換え割?まるで携帯電話のショップみたいやね」
僕はその日のうちにそのスポーツクラブに入会しパーソナルトレーナーも予約した。
「よし!心機一転、今まで以上にストイックに体を鍛えてやるぜ~!!」